相田みつを『こんな顔で』 ―山田寺の佛頭によせて
宮沢賢治の詩にある
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」
というのは
こんな顔の人をいうのだらうかーー
この顔は
かなしみに堪えた顔である
くるしみに堪えた顔である
人の世の様々な批判に
じっと堪えた顔である
そして
ひとことも弁解をしない顔である
なんにも言いわけをしない顔である
そしてまた
どんなにくるしくても
どんなにつらくても
決して弱音を吐かない顔である
絶対にぐちを言わない顔である
そのかわり
やらねばならぬことは
ただ黙ってやってゆく、という
固い意志の顔である
一番大事なものに
一番大事ないのちをかけてゆくーー
そういうキゼンとした顔である
この眼の深さを見るがいい
深い眼の底にある
さらに深い憂いを見るがいい
弁解や言いわけばかりしている人間には
この深い憂いはできない
息子よ
こんな顔で生きて欲しい
娘よ
こんな顔の若者と
めぐり逢ってほしい
(引用:相田みつを作品集1 にんげんだもの(p34〜35)文化出版局発行)
[ 追 記 ]
興福寺創建1300年記念「国宝 興福寺仏頭展」が、
東京藝術大学大学美術館にて
2013年9月3日(火)-11月24日(日)開催されました。
実際に観に行った感想は、こちらに書いています。
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[…] その『私の履歴書』の中で紹介されていた ” 相田みつを「こんな顔で」” の元となった山田寺佛頭。 […]